お花見BBQ：番外編

　一枚の写真が切っ掛けだった。

　「くりまんさん、ちょっとこれを見てください…」
　「うん？なに…」
　「実はこの写真なんですけどね…」

　そう言って手渡されたサービス版にプリントされた、一枚のモノクロ写真。
　先日、yukiさんが仕事で行ったインドで撮ったものだそうだ。

　それを拝見して、くりまんじゅうは「おやっ？」と思った。

　味わいのある表情を正面から抜いたyukiさんらしいい写真だが、気になったのはその手にしている写真だった。
　このカップルの後姿、なんか、どこか見覚えがあるような気がしたのだ。
　互いに若作りはしているが、どうにも隠し切れないその背中や腰まわりに漂う中年の哀愁。
　いや、そもそもこの写真はくりまんじゅうが撮ったものではないだろうか！と…
　yukiさんも「これ、例のあの二人じゃないですか？」と訝しそうな顔をしていた。

　「これ、どこで撮ったの？」
　「インドのムンバイです。スラム街の近くの街中で突然、見せられました！」

　Yukiさんの話によると、このオジサンは「へい、ジャパニーズ！見てくれこれを！この写真は、今、インドで話題の写真なのだ！どうだ、このカップルは日本人じゃないか？」と興奮した口調で訊いてきたという。
　「どうも今インドで大流行の一枚らしいですよ。」
　そう言うとyukiさんのメガネの奥の瞳がキラリと光った。

　薄っすらとだがこの写真を撮った記憶は頭の片隅に残っている。
　確か『学習の森』でのBBQでのヒトコマだった筈だ。
　真相を探るべく、好奇心旺盛なくりまんじゅうは早速、ネットでこの写真を調べてみた。
　だが相手は正体不明な画像。どう探していいのかしばし悩む。
　とりあえず片っ端から思いつく検索ワードをキーボードで叩き込んでみた。
　しかし、画像はなかなかヒットしない。
　いらつきながらも、ふと思いついた一つのワードをサーチした時、大量のサムネイル画像がモニタ画面を埋め尽くした。

　その言葉は『yume-no-nakade』。
　そう、この写真名は『yume-no-nakade』だったのだ。
　検索エンジンのヒット数はもはや桁が多すぎ数え切れない。
　まさにワールドワイドで流行っているようである。

　折角だから、いくつか紹介しよう。

　これはヨーロッパのとある店。その入口にも数枚並べて掛かっているという。

　『memory of the spring』と書かれたこんなフォトカードも売っているらしい。

　西海岸で撮られたと言う37suさんライクな写真もあった。

　クレヨンで画を書く人もいるそうだ。驚きだよね。

　なんと、マガジンの表紙にまで使われているらしい…
　あのマイケル以来か！

　古いレンジファインダーカメラでフィルム撮影したような感じだが、そんな筈はない。
　くりまんじゅうがD700＆50mmF1.4Gで撮ったものだ。
　下の振り返った写真で真相が判明するかと思ったが、残念ながら顔をモザイクで消されていた。

　東欧のアパートに掛かっているという大型ポスターである。

　さらにこんなのもあるって言うんだからビックリだ。

　セブ島のシューマート、「SM City」の広告塔にも使われているではないか！

　『Comme des Garcons』の紙袋を持っている東洋人であるところを見るとこれは間違いなく日本であろう。
　交通規制コーンに書かれた『ウエタニー』のカタカナから見ても間違いない。
　どこだ！都内か！知ってる人は誰か教えてくれ！

　さらにこんなアートモノもあるみたいだ。

　しかし、これほどまでに様々な写真が…
　いったい誰がこんなことを…

　アメリカのCDショップでも入口にこれである。

　探せばキリがない。

　いや、キリがないというより全てを見ることすら不可能な数である。

　そう、世界中のあらゆる国から、いっくらでも出てくるのだ。

　これは、ポスターとして販売されている証拠写真である。
　あぁ、くりまんじゅうの著作権が…^^;

　「使ってもいいから金よこせ～！！！」と思っていたら、そんな春の日の「ブ～ム」も僅かの間で終わったみたいである。
　いや、それともCIAが動いたのか！

　ということで、もうネットを探しても一枚も見当たりませんので、悪しからず。

　そう、全部消えてしまった『yume-no-nakade』のお話でした。^^;

　すみません。ちとおふざけが過ぎました。^^;
　勿論、云うまでもなく、すべてフェイクです。m(_ _)m

　ちなみに元絵は（これ）！^^;