珍入者

　一週間、いや十日ほど前からだったでしょうか、日中、閉じ込めておくチャップハウスからヤツの野太い吠え声が時々、聞こえるようになってきました。
　殆ど吠えることがないチャップ。
　なにを一体そんなに吠えているのかと思っていたら、どうやら犬がやってくるみたいです。
　犬と言ってもお散歩している犬とかがやって来ても吠えることはまずありません。
　実は、これがイマドキ、珍しい「放し飼い」の犬なのです。
　白い毛の毛がふさふさとしたポメラニアン風の（たぶん）雑種。^^;

　チャップハウスのまわりにやって来ては「へへへ、自由でいいだろう～。オマエ、閉じ込められてて可哀想だね」っていうように、フェンスの外から自由気ままにチャップを見ているので「ちくしょう！羨ましいぜ！」とチャップのストレス急上昇するかどうかはわかりませんが、とにかく、その犬がやってくると大吠えするのです。

　一応、ちゃんとした首輪もしているのでノラの様子ではないのですが、どこの飼い犬かは分かりません。なので名前も知りません。人間や犬にも慣れているようですし、飢えている感じも致しません。
　しかし、市の駐車場をうろついていたり、県道を歩いていることもあるので「轢かれなければいいなぁ」とかいつも心配しています。

　昨日のことでした。
　朝、居間のリビングのレースのカーテンの隙間から、なんか白いものが時々通り過ぎていくのが見えました。
　最初は目の錯覚か！と思ったのですが、しばらくするとまた通り過ぎました。

　普段、時々やって来る「猫」にしてはやけに毛がふさふさとしていると思い、また通っていった時、すぐに表に出てみたらそのワンコがいました。^^;
　普段、チャップも外に出すので庭は全て仕切られています。
　しかも、扉の向こうには水路があり、さらに（簡易だけど）隣地のフェンスもあるのに、その向こう側で大きな瞳でこちらを見ていました。
　いったい、どうやって入ってきたのかと思ったのですが、理由は分かりませんでした。

　そして、本日です。
　朝、チャップをチャップハウスに連れて行き、一旦、自宅に戻り会社へ出かける準備をしているとチャップハウスの方からチャップとは絶対に違う「キャン、キャン、キャン」という悲しそうな鳴き声が聞こえてきました。

　（ふむむ…ひょっとして、また、アイツが来てるのか？）
　そう思いながら、サッシを開けてチャップハウスの方を見たら…
　OH MY GOD!
　なんとそのワンコがチャップハウス内に侵入し、チャップに追い掛けまくられているではないですか。(^^)

　「チャップ、ヤメレ～」と声を掛けると、チャップはピクリと立ち止まって「何？オイラ、こいつと遊んでんだ！」って感じでこちらを見ましたが、コーナーに追い込まれたワンコは鳴きながら怯えています。

　実際、その体重はまあ10倍近くは違うでしょう。^^;
　チャップは遊んでいるつもりでも、逃げるワンコを追いかけ、コーナーに追い詰めては身体を押し付け押し倒しては、「匂い嗅がせてぇ～」とやっているその姿はもはや『イジメ』としかいいようがありません。^^;
　仕方がないので、ダッシュでチャップハウスへ走っていき、そのワンコを抱きかかえてチャップはプレハブ小屋に隔離。

　毛がふさふさしているので遠目ではそんなに小さく見えないのですが、実際の身体はかなり小さいです。
　くりまんじゅうの手の中でぶるぶると震えてました。

　「ダメだよ。あいつは茶色い悪魔なんだから！殺されちゃうぞ！」
　そう言って、柵の外に出してあげるとそそくさと車道を歩いていったワンコでした。

　それにしても、いくら小さいと言えど、中にチャップが待ち構えている場所に、どこから入ったのかまるで分かりません。^^;
　トキがやられたように分からない場所に侵入する場所があるのか、これは一度確認しなくちゃいけません。
　まあ、しかし、これに懲りてもうやって来ないとは思いますが…
　しかし、困ったワンコです。勿論、チャップと共になのですが…^^;

　今日はそんな放し飼いワンコのお話でした。^^;