2012-12-10

拝啓 あるまじろさま

 先日、旧友でもあるあるまじろさんが群馬にやってきました。
 その時のことはまた後日書こうかと思っているのですが、帰路に付く前の朝、一緒に近場をドライブしながら撮影会を行った時に少し気になることを仰っていたので、本日はネタもないので^^;、それについて書いてみようと思います。(撮影会といいつつ、カメラにメモリを入れ忘れてしまったくりまんじゅうはノーシャッターなのですが…(大汗))

 なので、本日の記事はあるまじろさんに対する不躾な公開メールに近いものになるかもしれませんが、何卒お許しください。m(_ _)m

 前略 あるまじろ様

 先日はわざわざ遠く群馬の地まで足をお運びいただき有難うございました。m(_ _)m
 さて、あれから一週間ほどの時間が経ち、あの時にお話できなかったことを本日此処に少々書かせていただきます。


 「いつもくりまんさんの写真を見ていて群馬の空は関西と比べて比較にならないくらいに青いと思っていました。」
 「しかし、確かに青いけれど写真のような青さじゃないのですね。これって修正をしているのですか?」
 こう仰いました。


 もちろん、実際の会話はもっと長いものであり、(そもそもあるまじろさんは関西弁なのですが(汗))、要約すれば、まぁ、このようなものでしょう。^^;


 関西の空を身近に見ていないのでそれについては分かりませんが、確かに写真の空は肉眼で見えているものより青く写していることは確かです。
 なので、「空を青く撮りたいのであれば、撮る時に露出補正マイナスに振ってやれば空は青くなりますよ」とお応え致しました。


 すると「では、撮影前、修正をしているのですね。」と…


 冗談めいた言い方であり、そこに深い意味はないことは重々承知しつつも、しかし、正直に言わせて貰うとその言葉に少々違和感を感じたことは確かでした。
 それは、先日も少し書きましたが、写真とは撮り手の「表現」であり、見たままを写し撮ることではないとないと私自身は常々考えているからです。


 言い換えれば、ひょっとしらた「可能な限り見えたままに撮ることが善し」と思っていらっしゃるのかと感じたわけです。

 澄み切った青い空は美しいものです。それは誰しも感じることです。
 ならばこそ、実際以上に空を青く写し撮ることは修正ではなく演出であり表現なのです。
 仮にもし、空の色を実際以上に青く撮ることが修正であるのならば、カメラのあらゆる事柄が修正になってしまうのかもしれません。


 例えば、望遠レンズを使って圧縮効果を与えることも、広角レンズを使ってパースペクティブを強調することも、開放で背景を暈すことも、マクロレンズで接写することも、これらすべて肉眼では見ることの出来ない写真だけの世界であり、肉眼で見たままを修正していることになります。


 フィルターや魚眼レンズ、さらには超望遠レンズなどは、その存在すら否定しなければならなくなってしまいます。


 そもそも近年、目覚しく進歩したデジタルカメラですが、それでも所詮、カメラの能力など人間の眼球に比べてしまうとまだまだ著しく落ちるものです。


 言い換えれば、肉眼で見えているようには絶対に写らないのです。


 しかし、だからこそ、そこに写真としての「表現」が生まれるのだと思っています。
 これは考え方の問題ですが、一番弟子を自称していただいているならば(汗)、是非、この点はご理解いただきたいことでございます。


 また「つい、太陽を背にして撮ってしまうのですよね。」「駄目だ!逆光だと真っ黒になってしまう!」という言葉も度々発しているようでしたが、それも少し気になりました。


 カメラを趣味としない人が記念写真で撮るのであれば極めて正解であり王道です。
 けれど、安定を求めず、そこから是非一歩足を前に踏み出していただきたいと感じました。


 逆光でみる光景は、肉眼では非常に美しく見えるものです。
 しかし、それを写真で普通に撮れば、真っ黒けになってしまいます。
 だから、撮らないではなく、だからこそ、それを撮り、肉眼以上に美しく見せる。
 そこに写真の楽しさがあるのではないかと考えています。


 その為にはハイキーで撮るという手法もありますが、そこは、次にレタッチに引き渡す為に最適な露出で撮る手をお勧め致します。
 実際、どんなに工夫をして撮ろうとしても、所詮、中間調を自由に操れないカメラだけでは、ハイダイナミックレンジを肉眼で見たように写し撮ることは能力的に無理だからです。
 そもそもデジタルカメラはレンズが付いたコンピュータであり、さらに自己完結出来るほどの能力を持ち合わせていないのです。
 最近はカメラ内HDRなどの技術も発達してきましたが、それでも実用的にはレタッチ処理に敵いません。
 カメラに出来ないことはレタッチに任せることこそ、デジタルカメラの王道であり正道です。


 カメラやレンズに敬意を持つことは大切ではありますが、同時にカメラやレンズの愚かさを知ることも必要ではないかと考えています。
 そして愚かであるからこそ、工夫次第で肉眼以上に空は青く写せ、逆光は美しく写せるのではないでしょうか。


 それが分かれば、あとはカメラやレンズなど何を使おうが撮れる写真は五十歩百歩でしょう。
 3万円のレンズと20万円のレンズの差、フルサイズとコンデジの差は、ほぼなくなるくらいまで縮むはずです。(でも、やっぱり差はあるんですけどね。^^;)

 ということで、レタッチをしない、したくない主義であることは存じておりますが、ここら辺りで、是非もう一歩、足を前に踏み出していただければと思っております。

 いや、たった二時間ばかりの撮影会でしたが、公然とこんなワタシの一番弟子を自称されるが故、感じたことを遠慮なく不躾に書かせて頂きました。
 お気を悪くされぬよう宜しくお願い致します。^^)

 今後とも何卒宜しくお願い申し上げます。

 早々

 くりまんじゅう

 < Nikon D700 + AF-S NIKKOR VR28-300mm F3.5-5.6G >

2 件のコメント:

  1. おや ?
    師匠にしては今回はえらく外してますねぇ。( ´ー`)

    指摘された項目については、承知の上での発言だったんですけど・・・
    あの時そう言ったことに間違いはないですが、疑問に思って質問したのではなく、もちろん深い考えなどもなく単なる軽口・雑談のつもりでした。

    単純な記録写真としてとらえるならば、経験豊富な先輩がいれば十分ですね。師匠はいりません。
    それに、撮る前でも後でも、補正や加工・修正をするのは邪道などと考えているのなら、"写真はアートだ"などという境地に達するのは不可能ですよね。

    「逆光で真っ黒」なんてのも、単純に自分の技量不足をこぼしただけの事ですがな。
    "光と影を制するものが写真を制す"というのも、今ではある程度理解してるつもりですから。
    レタッチのすすめも、以前にしてもらってますので、取り組むつもりでいますが、まだ安定した写真が撮れていない(基本が身についてない)ので宿題にしています。
    必要以上に道具に凝るのも、十年早いという事も学びました。

    とにかく、師匠に「あかんあかん全部落第や」とか、辛口の忠告などをもらうのは光栄ですよ。
    気を悪くする事などあり得ないので、引き続き遠慮なくご指導ご鞭撻お願いします。

    あ、それと。"あるまじろ"という名はとっくに捨ててますので、呼び名はただの"あるさん"で結構です。たぷん、"或間二郎"は捨てられませんけど。○=(゚∀゚ )



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