挑戦者

　今、目の前に一本の缶ビールがある。
　既に本日の定量、タカラ缶チューハイを２本飲んで、一人、缶ビールを眺めている。

　缶ビールの銘柄は『サッポロ黒ラベル』。
　発泡酒や第三のビールではない、ホンモノのビールである。
　飲むか、飲むまいか・・・ほんのりとアルコールの廻った脳の大脳皮質が静かに思案している。
　酒に意地汚いくりまじゅうである。
　いつもなら、迷うことなくプルトップを引き上げ、プシュという心地良い発泡音を聞きながら、大きめなグラスになみなみと注ぐだろう。
　そして、ホップの効いた黄金の液体をグ～と咽喉ごしで飲み込み、「ぷは～っ！！！」と幸せの息を吐き破顔する。
　が、今回ばかりは斜に構え、迷い悩んでいる。

　原因はこれだ！

　ズバリ、製造年月日が問題である。大問題といってもいい。
　この黒ラベル、なんと2003年7月生まれで実に９年ものなのである。
　まさに熟成に熟成を重ねている。
　ビールがホントにこんなに熟成重ねちゃっていいのか！
　この缶ビール、長い期間、事務所の暗所で眠っていた。いや、正確には禿ウインダム号のトランクのなかで紙袋に包まれて眠っていて、売却時にそのまま事務所の片隅に放置されたのだ。

　正直言って、プルトップを開けるのがちょっと怖い。（笑）
　開けてしまえば、絶対に飲んでみる。そんな性格だから余計である。

　実はどうしようか、ここ数日しばらく悩んでいた。
　チャンピオンは強敵である。みたこともないツワモノだ。
　それでも、我はチャレンジャーになれるのか！
　シラフでは無理である。
　なので今日は「地球上で一番美味い液体」を体内に入れ、先にアルコール洗浄を行ってから、今、リングに立つかどうか思案している。

　よし、覚悟は決めた。
　いくぞ！オレ！頑張れ、オレ！

　勇気を振絞ってプルトップを開けた。
　「プシュ」という音が立った。炭酸は抜けていないようである。

　そのままグラスに注ぐ。
　グビグビって注いじゃう！

　予想外のきめ細かい泡も立った。
　泡こそビールの命。死んでない。このビールにはまだ命が宿っている。

　さて、本当の戦いはここからである！

　言うまでもない。
　飲むべきか！飲まざるべきか！

　『男は黙ってサッポロビール』
　まぁ、飲むに決まっている。ここで飲まずは男が廃る。すたっちゃう！（笑）
　そして飲むのであれば、男は豪快にぐ～っと一気にいかねばならない。
　まさに毒を食らわば皿までだ！

　で、いきました。
　咽喉越しで一気に「ぐ～～～！！！！！」といっちゃいました。（笑）

　で、そのお味はというと・・・
　うーん、田舎の観光地で見たこともないような『地ビール』を飲んだ時のようなお味です。（笑）
　美味いか不味いかを問われれば、明らかに不味い。でも、飲めないほどには不味くないです。
　まさに熟成を思わせるようなコクが舌奥を刺激します。
　ただ、ちょっと感じる『雑味』と『酸味』が微妙な危険を漂わせます。（笑）

　もう一口飲んで、再度一度味を確かめました。

　・・・・・・
　・・・・・
　・・・
　・・
　・

　すみません。
　やっぱり、完飲は無理でした。いわゆる試合放棄っていやつです。^^;
　だって、１度目は強引に咽喉越しでいっちゃったのでどうにかなりましたが、舌で味わっちゃうとこれは少しヤバイです。（笑）
　飲み込む瞬間、何故か身体がゾクゾクってします。

　ヘタレですみません。でも、チャンピオン強すぎです。
　ノックアウトされる前に頭を垂れました。
　なので、残ったサッポロ黒ラベル９年モノは流しへと消えました。

　「ビールはやっぱり熟成しない方がいい。新鮮な方がいい！」
　本日、これ、人生の教訓になりました。（笑）

　＜ D40x + AF-S NIKKOR 50mm F1.4G ＞

　追伸、その後、体調に変化はありません。
　やっぱり、地球で一番美味い液体「タカラ缶チューハイ」がアルコール浄化してくれたのだと思っています。
　お前がいなければオレは死んでいた。ヤッパ、お前が世界で一番だ！^^;