2008-01-22

 『マンガ好きです』とこれまでも公言してきたくりまんじゅうですが、最近、読む漫画というと殆どが昔から続いているシリーズものです。なかなか新しい素敵なマンガに出会えません。

 先日、ふと寄った「TSUTAYA」のコミックスコーナーで目にした知らないマンガ。
 なんとなく「匂い」がして、1巻だけ買ってみました。

 当たりでした。それも大当たり!

 「岳石塚 真一著)

 久々に素晴らしいマンガに出逢えました。(2005年から連載していたのに、今まで知らなかったことを悔いています…)

 常に死と隣り合わせた山岳遭難時の救援活動を描いた、山を舞台に繰り広げられる人間ドラマです。読み易い絵、魅力的な主人公、巧みな物語の展開は勿論のこと、「人はなぜ山に登るのか…」人それぞれに違う秘めた思いを一話ごと見事なまでに描いています。

 難病の父に「治ったら一緒に山に登ろうな」と言われた息子。その息子が一人冬山に挑み遭難をする。そして、助けられ、只管、謝りながら「先週、親爺が死んだんです」と主人公に告げる若者。

 「ねえ、山に捨てても怒られないものって知ってる?」
 「えっ?…」
 「答えはね。ゴミと命以外ぜーんぶ!」
 「さっ、歩けるね。晴れたし、頂上へ行こう!」

 「悲しみ」を捨てていいと言わないところが憎いです。
 いや、こんな会話の綴り方に思わず「上手いなっ」と唸ってしまうわけです。

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 作者って幾つくらいの方なのだろう…
 2巻目以降を買ってきて、それらを読んでますます惹かれています。 いや、既に惹かれるを通り越して惚れています

 マンガの舞台は山であり山岳救助の日常ですが、作者の描きたい主題は人のの描写だということがひしひしと伝わってきます。

 「怖い目にあったりしないの?」
 「怖いよ。いつもじゃないけど」
 「なのにアンタはやっぱり山の仕事なのね」

 「うん。怖いけど・・・」
 「・・・」
 「でも、それと向き合わないのは、もっと怖いかな・・・」

 これは、主人公(島崎三歩)が流産した姉と交わす会話です。
 実際、読みながら、こんなに自然と涙が流れ、こんなに深くものを教わるマンガってはじめての気がします。

 ほぼ一話完結ですので、どの巻から読んでも大丈夫です。
 山登りや山歩きをしない人も是非読んで貰いたいマンガです。くりまんじゅうが絶対の自信を持ってお薦めします。
 多分、今年あたりドラマ化される予感がします。

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 それにしても漫画家って凄いですね。改めて思います。

 絵が巧いことは勿論ですが、それ以上にプロの作家のような物語を作る能力、まるでプロの写真家のような構図やカット、そして映画監督のような構成力や編集力、さらに優秀な脚本家が作り出すような会話のやり取りや演出。さらに様々な出場人物に持たせる個性やキャラクター作り。

 それらをすべて一人でこなすのですから、まさにマルチタレントのスーパーマンといえます。
 最近のドラマなどがマンガ原作が多いといのも頷けます。

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