2011-01-18

思い出写真 木曾駒ケ岳

 当初はまったく登る気などありませんでした。あっ、山にです。
 いやぁ、しかし、きつかった。(笑)
 途中で何度もやめようと思ったのですが、最後はもう「意地」だけで登りました。^^;

 2003年10月8日。
 季節は秋、10月の初旬の日曜日でした。この年は確かお祭りもなかった。(あったらこの日にここにいけるわけがない。^^;)
 なので「天気もいいし、紅葉でも見に木曽駒の千畳敷にでもロープウエイに乗って行っちゃう?」ってな感じで軽い気持ちで出かけました。

 中央アルプス宝剣岳(標高2,931m)直下の通称「千畳敷カール」。
 その標高は「2,611m」まさに雲上です。
 ここへは一般車両通行禁止の山道を菅の台バスセンターから路線バスに乗り、途中、鹿なんぞに出会いながらもロープウエイの山麓駅「しらび平」で下車。そこから駒ケ岳ロープウエイで終点「千畳敷」駅へと駆け上がります。
 その所要時間は約1時間程度。あっという間に悠久の自然に囲まれた天空に到着です。

 いや、最初は千畳敷散策だけの予定でした。
 眼下には伊那平。そしてその先には南アルプスの青き山並み。更に奥には富士の頂きが見えています。まさに絶景、絶景だよオッカサンっていうやつです。^^;

 しかし、背後を見るとまだ約300mの岩壁がすぐ近くに迫っています。
 そして、中央やや右側の宝剣岳と和合山の岩壁の間が登山道。
 下から見るとすぐそこに見えます。いや、本当にすぐそこに見えるのです。

 なんとかと煙は高い所に上がりたがると言いますが、ズキンと疼きました。(笑)
 けれど、登山する気なんかまったくなかったのでまったくの普段着です。チノパンにボタンダウンのシャツ。その上にブルゾン羽織っている程度。
 靴だってスニーカー。当然、ペットボトル一つ所持していません。
 「どうする?登ってみる?」
 「うーん、行けるところまでとりあえず行ってみるか?」
 「そだね。無理だったら引き返せばいいだけだし…」
 こんな実にお気軽な会話の後、くりまんじゅうとぶ~こは中央アルプス山頂へと向かったのでありました。(汗)

 登山道を振り返るとホテルでもあると共にロープウエイの山頂駅でもある「ホテル千畳敷」。この辺までまだ多少は余裕がありました。
 でも、こっから先がきつかった。言葉になんて出来ないくらい・・・


 素人登山は最初はつい早足になります。元気なうちは調子に乗ってガンガン登る。
 でも、これが失敗の元。すぐに息が上がり、後は「ハーハー、ゼイゼイ」。筋力より先に心肺機能が音を上げます。
 当初、いい気になって追い抜かしていった年配の登山者方にバシバシ抜き返される羽目になりました。^^;

 足場の悪い瓦礫の道でこれがまた凄い急勾配なんですよ。
 汗はだらだら、息はゼイゼイ、心臓バクバク。オマケに水も持ってこなかったので水分補給も出来ないときた。
 で、2,30m登っては「休憩!」と言って、よせばいいのに一服しちゃう。吸わなきゃいいのにタバコ吸う。(爆)
 その繰り返し…

 ぶ~こも苦しそうでしたが、明らかに当時運動不足だったくりまんじゅうの方がヘタレでした。(汗)

 で、登山道ですから、当然、上から下ってくる人もいるわけです。
 山に登れば、当然、すれ違いの時に「こんにちは~!」とか挨拶してくれるのですが、 これが困った。実に困ったものでした。
 はっきりと言いましょう。こちとら、んな挨拶交わせるような状態じゃあないんですよ。
 明るく元気に「こんにちは!」とか言われても、下向いたまま「こ…ち…わぁ…」と言葉にならない声を無理やり吐き出すのが精一杯。
 そして、心の中じゃ「テメェ、声なんか掛けるじゃネェ。今、そんな場合じゃねんだ~」って思っちゃうわけですよ。(笑)

 もうダメ!ムリ!ヤメ!と実際、何度思ったか。(笑)
 でも、最後はもはや「意地」だけでした。

 10mくらい先に目標を見出して「あそこに行ったらやめよう」と思って足を出す。そして、そこに着いたらまた10m先。この繰り返し。愚か者の繰り返し。
 最後の方はくりまんじゅうのあまりの必死の形相に「あと、もう少しですよ」とか「頑張れ!頑張れ!」とご声援を頂いたり、あるいは目を逸らすようにしてすれ違っていく人ばかりになりました。(笑)

 そしてようやく稜線に出た!

 そこで待っていたのまさに大絶景のパノラマでした。
 苦しい思いをしただけの価値ある景色。思わず「万歳!」とやりたくなる。自分自身に「よく頑張った!」と言ってあげたくなります。
 しかし、実際、標高3000mというやつは凄いです。まさに天下を取った気分に浸れます。360度、どこ見ても遮るものがないんですよ。

 木曽山脈、中央アルプスの稜線ですから向こう側は木曽谷です。
 御嶽山の雄大で優美な姿も当然見えます。

 実際、自分の足以外、車やリフトやゴンドラでは辿り着けない場所。だからこそ価値があります。

 でも、今思うとあまりに無謀であったことも確かでした。
 標高3000mを甘く見てはいけません。なにより天候に対しての備えがなにもない。
 山の天気は急変するわけです。なのに雨具一つ持たずにお散歩気分に出掛けちゃうのは山を知らない馬鹿者です。
 島崎三歩に怒られます。^^;

 とはいえ、まぁ、この登山コースはいわゆる「初心者コース」ってやつ。
 ちょっと元気な子供たちもニコニコしながら登っちゃうコースなわけで、言い換えれば、単にくりまんじゅうのヘタレが露見しただけなのですが…まぁ、それもいい思い出。

 登ってくる時は「テメェ、声なんか掛けてくるんじゃねぇ!」と思っていたくりまんじゅう、勿論、帰路の下りは満面の笑みで「こんにちは!」って登ってくる人に元気よく声掛けちゃったことは言うまでもありません。がははは…(なんて現金なヤツってぶ~こが笑っていたけど・・・)

 いや、いい経験をした「木曾駒ケ岳」の思い出です。

 そう言えば、真冬の千畳敷で「結婚式」が出来るのです。
 招待されませんでしたが、以前、知人がここで結婚式を挙げました。
 マイナス20度の世界での結婚式。(笑)
 天気が良ければ多少はいいけれど、吹雪の時は地獄だそうです。
 http://inamai.com/news.php?s=1&i=200702171510460000017680
 (記事は知らない人のものです・・・)

 < SONY Cybershot DSC-P5 >

 そうそう、駒ケ岳(駒ヶ根)と言えばなんと言っても「ソースカツ丼」。
 あちらこちらに「ソースカツ丼」の幟が立っています。
 勿論、ロープウエイの売店にもありましたが、帰りに寄った「喫茶ガロ」のソースカツ丼は絶品でした。
 http://sky.freespace.jp/okusan/photo/gurume/garo_komagane/garo.htm
 駒ヶ根行ったら是非、ソースカツ丼、ご賞味あれ!!

2 件のコメント:

  1. 写真って本当にいいですね。
    私は見たことのない景色ですが、雄大さがわかります。
    体験されたくりまんじゅうさんは目の前に当時の景色が広がるのでしょうね。

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  2. 写真ではなかなか伝わらないかもしれませんが、少しでも感じ取っていただけたのでしたら、幸いです。

    また、大変な思いをして山に登る人の気持ちも分かった様な気がします。
    今、山に行くと40、50は洟垂れ小僧。60,70代の方がメインハイカーです。hiroさんも是非。^^)v
    あっ、最近は「山ガール」とかいう若い女の子も多いか・・・(汗)

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