2007-12-31

火事の衣類と格闘中

 昨日(12/30)は午前中まで「仕事」、そして午後は家の「大掃除」でした。

 まず、仕事の方はと言うと、ここ数日、先日の火事で被害にあった「衣類」と格闘しています。
 あの猛火から、焼けずに残された衣類です。どうにかしてあげたいと思います。
 けれど、火事にあった衣類を再び着用する状態に戻すのは正直言って大変です。
 まず「臭い」が困りもの。とてつもなく「いぶ臭い」・・・重症です。鼻が曲がりそうなくらいの臭いです。

 けれど、これがただ洗っただけでは、まずまったくといっていいほどに取れません。それでいて他には簡単に移ってしまうので、他の衣類と一緒に洗えないだけではなく、洗浄液や機械までも汚染してしまいますので、殆ど、個別処理の手洗いになります。 それでも完全除去は厳しいのです。

 次にやっかいなのが、「煤(すす)」。
 炭素ですから、当然、水にも油にも溶けません。
 「汚れが落ちる」という理屈をごく単純に説明すれば、その汚れが洗う液体(水であったりドライ液であったり)に「溶ける」から落ちるわけで、言い換えれば、溶けないものは「落ちない」のです。

 となると、次にとる方法は「漂白処理」。色を無くして、実際はそこに残っていても「眼に見えなく」することで落ちたことにしてしまうのですが、黒は白の極にありますので、これも現実的には無理と言ってもいいでしょう。

 結局、最後は物理的に繊維の外に叩き出すしかないのですが、これも様々な問題があってそう単純にはいきません。
 例えば通常、ポリエステルなどの化学繊維はかなり強い物理処理にも耐えるのですが、ポイントはそれらの繊維は熱に弱いということです。火事の「煤」はかなり高温ですので、既にその部分が熱溶解していることが多く、一見、大丈夫そうに見えても、既に繊維は弱っているケースが多々あるので困ります。
 「煤は取れたけど破れてしまった・・・」 実にありがちな話です。
 逆に天然繊維(絹・ウールなど)は熱には耐えても、負荷に弱いのです。

 現在、お預かりしている衣類の点数はおよそ150着。素材も被害状況もすべて違うので一点づつ最善の方法を考えながら処理しています。

 昨日は半日掛けて二点修復。
 「気に入っていたので、これだけはどうにかして欲しい」と言われた娘さんの「プラダ」のバッグ 。黒の皮革で縁取りされた白いキャンバス地のものだったのですが、煤と消火の水で、まだら模様に薄汚れてました。実際、汚れを取ることはもはや不可能です。

(色やサイズが違いますが、上記のようなデザインのバッグです。実際の写真も撮りましたが、お客さんの品物ですので公開は出来ません)

 散々悩んだ挙句、結局、残る最後の手段で濃い目のグレイに「染め返し」しました。(要するに漂白の逆です)
 洗浄後、消臭処理、そして染色を行い、色止めをして、最後に撥水処理を施して・・・出来上がりです。
 自分で言うのもなんですが、なかなか会心の出来でした。(^^)v 世界に一つしかない限定色のバッグ。これだけは今年中に納品出来ましたが、凄く喜んで頂けました。

 ということで、実際、年が明けてもしばらくは、それらと格闘が続きそうです。

 続いて、午後の大掃除ですが、こちらはぶ~このご指示に従い(笑)、三脚に乗りサンルームの天板掃除、屋根にまで届きそうなほどに成長してしまったゴールドクレストの枝落とし、そして、同様にモンスター化してしまった「モッコウ薔薇」の剪定とそれの外壁への誘引でした。

 枝切りバサミで「バッサ」、「バッサ」と切りまくりました。

 その残骸はこの通りです。
 しかし、この後の廃棄処理が悩みの種です。

 新たに針金を張り、外壁に誘引したモッコウ薔薇も妙にこざっぱりしてしまいました。というより、実際はまだ途中です。昨日は北風が冷たくて「また明日!にしよう」と途中で撤収しました。

 そんなこんなで、夕方、なんだか疲れてしまって、お昼寝ならぬお夕寝でした。

 慌ただしい年の瀬です。

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 大晦日だと言うのに、本日も一人会社で「仕事」です。
 資材の棚卸・・・(^^; これが終わればようやく仕事納めです。
 外は北風がビュービュー。いつもは白く輝いている浅間の山も今日はまったく見えません。寒いです。早く帰ってコタツで温まりたい。

(ねっ、K代さん、くりまんじゅうも働いているでしょ。(笑))

4 件のコメント:

  1. ホントに・・・!
    仕事ととはいえ頭が下がります。
    大変ですが頑張ってくださいね。
    きっとお客様も喜んでくれると思います!


    うちの夫はクリーニングにこだわりがあり、
    シャツ一枚でも、これは「たたみ」これは「つるし」「のりなし」とか「のりあり」「デラックス」だとか・・・。
    もちろん出すのも取りに行くのも自分でします。
    なんでも適当な私には恐くて任せられないみたいです(笑)
    そんな夫が安心して任せられるクリーニング屋さんが「くりまんじゅうさんち」なんだそうです!
    思った通りに仕上げてくれると言っています。
    もう20年以上お世話になっているんです。

    こんな影の努力、きめ細かい心使い、小さな事の積み重ねが、ちゃんと届いているからこそ根強いファンがいるのだと思います。
    来年もうちのこだわりの洋服をよろしくお願いします!

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  2. 火事でたくさんの大切な物を失われ、本当にお気の毒でしたね・・・

    でもくりまんじゅうさんの努力と暖かい気持ちに、きっと励まされていらっしゃると思いますよ。

    『こだわり』のあるくりまんじゅうさんのお店に我が家のクリーニングもお願いしたいくらいです。

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  3. 日本海側である福岡は、九州といっても意外に寒く、今日も吹雪いています。

    風邪などひかれませんように良いお年をお迎え下さい♪♪♪

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  4. ご過分なお言葉をありがとうございます。

    でも、普段は殆ど仕事してませんから・・・(苦笑)
    皆さんも、よいお年を迎えられますことを心よりお祈り申し上げます。

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