お国訛りの言葉、その地域にずっと根ざして伝わってきた言葉、「方言」ってくりまんじゅうは大好きです。
けれど、ずっと群馬で生まれ育ってきた私は、若い頃、群馬にも方言があり、それを自分でも話しているなんて気づきませんでした。
「群馬って標準語じゃなかったんだ!」
それをはじめて認識したのは、学生時代に東京にいた時です。ある日、あまり知らないクラスメートから「オマエ、出身、群馬だろう!」と不意に言われたことがあります。
「何で分かるの?」
くりまんじゅうが驚いて尋ねると、
「だって、群馬弁だもん」
と、あっさり言うではないですか。
興味を持ったくりまんじゅうは、彼に色々と聞いてみました。
彼の言うには、まず群馬県人は基本的に疑問文を「ん」で終わりにすることが多いと言うのです。
例えば、「どこ行くの?」とか「どこへ行くんですか?」を「どこ行くん?」とか・・・
うーん、確かに思い当たる節があります。「やったん?」「聞いたん?」「食べたん?」「帰ったん?」ははは、そう言えば、みんな、そうだ!
「それから、話していて耳に障るのが、「行く」を濁らせる」とも言いました。
「行く」濁る・・・?そう言って、私が不可思議そうな顔をすると、
「「行ぐ」「行がない」「行ぎたい」「行ごう」「行げねけよう」って言わない?」って聞いてきました。
思わず腹を抱えて笑ってしまいました。はい、確かに言ってます。無意識だけど、間違いなく言ってます。
そして、「他にもいっぱいあるけれど、イントネーションも群馬の人は違うのがある」とも言うのです。代表的な例は「イチゴ」「花びん」。標準語では「イチゴ」だけど、群馬弁だと「イチゴ」。「かびん」は「かびん」。
なるほど!
彼は趣味で方言の研究しているそうで、そういうのを総合的に考えると出身がどこだか、かなりの確率で分かるというのです。
その時は、へぇ、そういうものなのかという程度だったのですが、それから数年して、東京での学生生活が終わり安中へ帰ってきてすぐの頃、街中で偶然会った中学時代の同級生の女の子と、「あれぇ、久しぶりだね。中学卒業以来かな?」から始まった会話の中で、彼女が言った他愛もない一言が、私の心に妙に響きました。
その言葉は「もう、なから寒くなってきたからね」でした。
『な、なから・・・かぁ?』
数年ぶりに聞くその単語に妙な懐かしさを感じるとともに「あぁ、群馬に帰ってきたんだ!」という実感に襲われたのです。
本来、「なから」は「半ら・中ら」であり、その意味は「およそ半分。なかば」、これは平家物語や更級日記などにも出てくる由緒ある古語なのですが、現在、全国的には殆ど使われなくなってしまった言葉みたいです。実際、くりまんじゅうは群馬以外で耳にしたことはありません。
けれど、上州弁における「なから」には「かなり」という意味合いが含まれていて、割合として50%以上よりも多い(強い)状態を感じられます。例えば「なから出来上がったね」という言葉のイメージは半分程度出来上がったではなく、八割がた出来上がったに感じます。
でも、上州弁に限らず方言っていいですよね。津軽や鹿児島のような「異国」のような言葉も神秘的でいいですが、だいたい分かるけど、時々、分からないっていうのもすごく魅力的です。
例えば、以前、福岡へ言った時、混みいった居酒屋で聞いた「とっとっと」はかなり衝撃的でした。
五十半ばのオジサンが、突然、くりまんじゅうの横を指で示して、「とっとっと?」
それを聞いたくりまんじゅうがキョトンとしていると、一緒にいた知人が「とっとっと!」と言いました。
すると、オジサンは「あぁ、とっとっと」と言って別の席の方へ去っていったのです。
「・・・何?」
くりまんじゅうが知人に聞くと「あぁ、博多弁で「この席、とってありますか?」っていうのを「とっとっと」っていうんですよ。で、とってあるのなら、これも「とっとっと」」と言って笑ってました。
いいじゃないですか「とっとっと」
ちなみに標準語と言うと「東京」ってイメージする人が多いですが、ネイティブな住民が標準語に一番近い言葉を話す地域は埼玉県の大宮から川越あたりだそうです。確かに根っからの東京人は確かにバリバリの江戸弁ですものね。
言葉は文化であり、まさに故郷だと思います。マスメディアが普及し、何もかもが標準化されていく時代ですけど、お国訛りの『言葉』もずっと残していきたいものだとくりまんじゅうは思っています。
これからも時々、上州弁に関する話題も書いてみたいです。
群馬弁も荒いけど好きですね。福岡県民のやきまんじゅうからすると、あっさり・・・味かな?
返信削除博多弁で驚いたのは、中学三年の時、群馬から福岡に転校して、学校の先生が「教科書をなおしなさい。」と・・・???どこも壊れてないよ~とまわりを見回すと、みんな机の中に教科書をしまっていました。 なおすは普通壊れたものを治すとかの意味ですよね。ちなみに壊れたものを治すときも同じになおすと言います。(たぶん九州全土そうだと思います。)
やっぱり、学生時代。学校帰りに友人と一緒に彼のアパートへ行く時のことでした。
返信削除彼のアパートは丘陵の上の方にあり、途中、かなり急で長い階段を上がっていかなければなりません。これがかなりキツイのです。
息はぜいぜい、汗はかきかき、私は友人の2,3メートル前を必死に歩いていました。
それは、上り坂が半分過ぎたあたりでした。突然、後ろから彼の声が聞こえてきたのです。
「偉いな・・・」
それを聞いたくりまんじゅうは思いました。
(こんな急坂をぐいぐい登る俺をヤツは褒めてくれてるんだ!)と・・・
内心得意になって、無理を承知の駆け足です。
そして、ようやくアパートに着くと、遅れてきた友人に言われました。
「バカじゃねえの、こんなエライ坂、走って登るやるなんていねぇぞ!」
ギャフン!凹
彼はたしか、沼津市民だった記憶があります。